医療法人 田口歯科医院 錦 江南 上奈良町 江南市 歯科、歯科矯正、小児歯科、歯科口腔外科

顎関節症とは

顎関節症とは

あなたの顎(がく)関節の自己チェック法(日本顎関節学会)
(合計点数が8.6以上では顎関節症の危険あり)

1.口を大きく開いたとき、人差し指から薬指を並べた3本指を縦にして入りますか?
(1.すっと入る 2.ほぼ問題ない 3.どちらともいえない 4.やや困難 5.全く入らない)

2.口を大きく開け閉めした時、あごの痛みがありますか?
(1.全くない 2.たまにある 3.どちらともいえない 4.しばしばある 5.いつもある)

3.口を大きく開いたとき、まっすぐに開きますか?
(1.いつもまっすぐ 2.たまに曲がる 3.どちらともいえない 4.しばしば曲がる 5.いつも曲がる)

4.干し肉、するめ、タコなど硬いものを食べるとあごや顔が痛みますか?
(1.痛まない 2.たまに痛む 3.どちらともいえない 4.しばしば痛む 5.いつも痛む)

あるいは設問2の「口を大きく開け閉めした時、あごの痛みがありますか?」
に「はい」と回答した方も顎関節症である可能性がありますので、
専門医を受診することをお勧めします。
 

顎関節症の代表的な症状

顎関節症の代表的な症状は、「あごが痛む(顎関節痛)」、「口が開かない(開口障害)」、「あごを動かすと音がする(顎関節雑音)」の三つで、このうち一つ以上の症状があり、鑑別診断で他の疾患がない病態を「顎関節症」といいます。
 

顎関節とその関連臓器のしくみ(構造)と働き(機能)

顎関節は手足の関節と同じような基本構造を持っていますが、異なる面も多くあります。
顎関節は頭の骨(側頭骨)のくぼみ(下顎窩)に下あごの上先端の骨(下顎頭)が入り込む構造で、
その間にクッションの役割をする関節円板という組織が挟み込まれています(下図)。

 関節円板はコラーゲンと呼ばれる線維のかたまりで、血管や神経がありません。開口時には下顎頭が下顎窩からさらに前に出るように動きます。また、閉口時には、下顎頭が下顎窩にはまりこみます。この動きは、四肢の関節にはない関節の動きです。この時、関節円板が、下顎頭と協調して開口時には前に移動したり、閉口時には後ろに戻ったりします。これは大きく口を開けて、食物を口に入れ、噛みつぶしていくとき、下顎頭を介して、側頭骨に力が過大にかからないように関節円板が協調して移動することにより、圧力を分散させる仕組みになっているからです。
 

関節円板のズレが起きると………(日本顎関節学会)

 関節円板は下顎頭の外側と内側にしっかりと付着していますが、前後方向の付着が緩いため、大きな力が持続的に顎関節に加わると、関節円板にズレ(転位)の生じることがあります。このズレの92%は前方で、8%が内外の側方、ごくまれに後方にも生じます。また、閉口時に関節円板にズレがあっても、最大開口時にはこのズレが戻る場合と、戻らない場合とがあります。戻る場合には開口時と閉口時に「カックン」と関節音がします。また、戻らない場合には、急性期には「口が開けられない」、「口を開けると耳の前が、とても痛い」などの症状がみられます(下図)

 

顎関節症の分類

顎関節症の新病態分類(2013 年)

日本で初めて、私が1986年に名古屋大学在職中に顎関節症の症型分類(Ⅰ型からⅤ型の分類)を作製し、それが種々改良が重ねられ、欧米の分類との整合性が図られ、現在下記の分類に至っています(ほぼ同じ形式であるが、心身医学的要因のⅤ型が、二軸として別枠で捉え、それがなくなっている)。

  • 咀嚼筋痛障害myalgia of the masticatory muscle(Ⅰ型)
  • 顎関節痛障害arthralgia of the temporomandibular joint(Ⅱ型)
  • 顎関節円板障害temporomandibular joint disc derangement(Ⅲ型)
    a.復位性with reduction
    b.非復位性without reduction
  • 変形性顎関節症osteoarthrosis/osteoarthritis of the temporomandibular joint(Ⅳ型)
     

治療法は?

保存的治療法の概要

 ほとんどの症例は、スプリント療法と運動療法の保存的治療で対処します。
患者さんにとっては、肉体的にも経済的にも負担の少ないものです。
 痛みが強い場合は、鎮痛薬の規則的な服用で関節内の炎症を鎮めるとともに、スプリント(下図)といわれる義歯と同じレジンという樹脂で作成した歯列全体にかぶせる装置を夜間のみ使用するスプリント療法と、顎の動きに伴う痛みを軽減する運動療法の保存的な治療が一般的で、当院は、世界でも最新の治療法を提供しています。

運動療法

運動療法には、術者(先生)が行う運動療法と、その効果を持続させるために行うセルフケア(患者さん自身の行うもの)があります。   

    ―プロフェッショナルケア(術者の行う運動療法)―

1) 顎関節可動化療法     
    *徒手的関節円板整位術(狭義のマニピュレーション)      
    ―急性の非復位性関節円板障害に適応     
    *狭義の顎関節可動化療法      
    ―陳旧性の非復位性関節円板障害に適応
2) 筋・筋膜トリガーポイントに対する徒手療法(マッサージ)
3) ストレッチ療法     
    *顎関節腔のストレッチ
    *咀嚼筋群のストレッチ
    *顎関節関連筋群のストレッチ

    ―セルフケア(術者の指導により患者自身の行う運動療法)―

1) 筋訓練療法(筋力増強訓練)
2) 開閉口運動療法   
  a.顎関節可動化訓練  b.関節円板整位訓練 c.左右協調性可動化訓練
3) 自己牽引療法(ストレッチ運動)
4) マッサージ療法ー咀嚼筋群・頸部筋群を対象
5) TCHの是正

不明な点や、判らないことなどお気軽にご相談ください。